コラム

空手は護身に使えるか?

よく聞く、空手を始めるきっかけとして「護身術として」というものがあります。
このご時世ですから、いつ何時危険な目にあうかわかりません。
そんなとき自分の身は自分で守りたいと思う人は多くいます。
空手は護身術として役に立つのでしょうか?
今回は戦術的な観点から語って見たいと思います。


まず、よく言われるのが「危険に近づかないのが究極の護身術だ」ということです。
正論ですが、これは戦略的な話であり、まったく別次元の話です。
戦術的な話とは、実際危険な場面に合った時の話です。
戦術的な話の前に少し空手の歴史について。
空手は本来は沖縄で発達した武術、戦闘技術です。
当時は唐手と言いました。
唐手は武器を持った相手に、素手や棒や杖などの貧弱な武器で立ち向かう技術です。
相手と戦い、制圧する技術ですから性質的には護身術といえます。
当然、相手に致命的なダメージを与える技が多くあります。
唐手は沖縄から本土へ来て空手となり、約100年がたちました。
しかし本来の武術としてではなく、精神的な修行も重視する武道と、危険が無く体力向上や試合の勝敗を求めるスポーツととして発達、発展しました。
そうなると危険な技は必要なくなり、練習も伝承もされなくなります。
実際に多くの実戦的だけれども危険な技が失われたと思われます。
これは他の武道や格闘技も同じようです。
ここで護身術の話に戻ります。
結論から言うと、空手に限らず、現代の武道や格闘技は護身術としては役に立たないでしょう。
それはそうです。
そういう訓練をしていませんからね。
訓練していないものを、とっさのときに出来る人はいません。
特にスポーツ系ではまったく役に立たないでしょう。
いくら突きや蹴りの練習をしても、それは試合向けのものであり、実戦を想定してはいません。
ましてやとっさに襲われた時の技ではありません。
もちろん武道やスポーツで鍛えた体力や胆力は役に立つでしょう。
しかし、いざと言う時は実力の半分も出せないものです。
パニックになると稽古で覚えた技なんて出ません。
それではどうすればいいでしょう?
護身術を身につけるには、護身術を専門で訓練することです。
それならば武術は役に立ちます。
空手は前後左右から来る敵を想定した技が多くあります。
これを実際のケースを想定しながら練習します。
これなら実戦的な技が身に付くし、そういう場面でも比較的落ち着いて対処できるでしょう。
いろいろ考えましたが、現代の武道を練習しているだけでは護身術として役には立ちません。
身も蓋もありませんが、私はそう思います。

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